仲裁判断 

仲 裁 判 断
一般財団法人日本スポーツ仲裁機構
JSAA-AP-2010-004
仲裁判断
申立人:X
被申立人:社団法人兵庫県ボウリング連盟
被申立人:財団法人兵庫県体育協会

主 文
 本件申立の(1)から(3)までは棄却し、(4)から(7)までは却下する。
理  由
第1 当事者の求めた仲裁判断
1 申立人は次のとおりの仲裁判断を求めた。
  • (1)被申立人らは、被申立人社団法人兵庫県ボウリング連盟が2010年7月27日に通知した第65回国民体育大会ボウリング競技の兵庫県成年男子代表選手の正選手をA、B、C、Dとし、予備登録選手を申立人とする決定を取り消す。
  • (2)被申立人らは、第65回国民体育大会ボウリング競技の兵庫県成年男子代表選手の正選手として申立人を選出せよ。
  • (3)被申立人らは、第65回国民体育大会ボウリング競技の兵庫県成年男子代表監督Eを解任せよ。
  • (4)被申立人社団法人兵庫県ボウリング連盟は、同被申立人の会長、副会長、理事及び監事のうち一定数を同被申立人の会員でない者から任命せよ。
  • (5)被申立人社団法人兵庫県ボウリング連盟は、選手選考を監督するために、同被申立人の会員でなく、かつスポーツ経験を有する有識者を委員とする専門委員会を設置せよ。
  • (6)被申立人社団法人兵庫県ボウリング連盟は、同被申立人のアマチュア審査委員会委員として、同被申立人の会員でなく、かつスポーツ経験を有する有識者を委員として選任せよ。
  • (7)被申立人らは申立人に対し金25,200円を支払え。
2 被申立人は次のとおりの仲裁判断を求めた。
  •  いずれも棄却ないし却下を求める。
第2 仲裁手続きの経緯
1 2010年9月14日、申立人は、一般財団法人日本スポーツ仲裁機構(以下「日本スポーツ仲裁機構」と称する)に対し、社団法人兵庫県ボウリング連盟(以下「兵庫県ボウリング連盟」と称する)及び財団法人兵庫県体育協会(以下「兵庫県体育協会」と称する)を被申立人として仲裁を申立てた。
2 同月17日、被申立人らは、書面により、申立てに係る紛争をスポーツ仲裁パネルに付託する旨を合意した。
3 同日、日本スポーツ仲裁機構は、申立人の仲裁申立てを受理した。この際、日本スポーツ仲裁機構は、事態の緊急性に鑑みて迅速に紛争を解決する必要があると判断し、スポーツ仲裁規則50条の規定に基づく緊急仲裁手続きによることを決定し、仲裁人として宮島繁成1名を選定した。
4 同日、日本スポーツ仲裁機構は、当事者に対して、仲裁申立て受理、緊急仲裁手続き開始及びスポーツ仲裁パネルの構成についての通知を行った。
5 同月21日、スポーツ仲裁パネルは、同月23日午前10時から兵庫県神戸市内において審問を行うことを決定し、当事者に通知した。
6 同日、被申立人らは、スポーツ仲裁パネルに対し答弁書を提出した。
7 同月22日、スポーツ仲裁パネルは、申立人に対し釈明を求めることを決定し、当事者に通知した。
8 同月23日、スポーツ仲裁パネルは審問を開始した。
  • (1) 審問には、当事者、被申立人兵庫県ボウリング連盟代理人F、同G、被申立人兵庫県体育協会代理人Hが出席した。
  • (2) 申立人の請求の趣旨について変更及び撤回があり、前第1、1記載の内容であることが確認された。この変更及び撤回について被申立人らは異議を述べなかった。変更及び撤回後の請求の趣旨に対し、被申立人らは前第1、2のとおりの答弁を行った。
  • (3) スポーツ仲裁パネルは、当事者提出の証拠資料を追加提出されたものも含めいずれも証拠として採用し、取調べた。また申立人本人、被申立人兵庫県ボウリング連盟の副会長でありかつ代理人であるF、被申立人兵庫県体育協会の事務局長でありかつ代理人であるHを本人もしくは証人として取調べることを決定し、続いて尋問を行った。
  • (4) 以上の手続の後、同日、スポーツ仲裁パネルは審理の終結を決定した。
9 同日、当事者に対して仲裁判断を口頭で告知した。
第3 事案の概要
1 事案の概要
 申立人の主な主張は、第65回国民体育大会(以下「本国体」という)のボウリング競技兵庫県成年男子代表選手の選考過程において、被申立人らが申立人を正選手として選出しなかったことについて異議を申し立てるものである。
2 争いのない事実及びスポーツ仲裁パネルが認定した事実
  • (1)当事者
     申立人は被申立人兵庫県ボウリング連盟の正会員であり、スポーツ仲裁規則2条1項に定める「競技者等」である。
     被申立人兵庫県ボウリング連盟は、兵庫県におけるアマチュア・ボウリング競技界を統轄し代表する団体であり、被申立人兵庫県体育協会の加盟団体である。被申立人兵庫県体育協会は、スポーツの振興、健康の増進等を目的とする団体であり、国民体育大会等に県を代表する競技者及び役員を選考して派遣する事業等を行っている。被申立人らはいずれもスポーツ仲裁規則2条1項に定める「競技団体」である。
  • (2)申立人の経歴等
     申立人は、被申立人兵庫県ボウリング連盟の正会員として選手登録し、これまでボウリング選手として活躍してきた。2003年第58回国民体育大会近畿ブロック大会成年男子団体戦で優勝、2004年文部科学大臣杯争奪第43回全日本選手権大会男子2人チーム戦で準優勝するなどの成績を収めている。
     申立人は、2005年6月15日、被申立人兵庫県ボウリング連盟に登録する未成年者選手の飲酒事件等を報告して処分を求め、また、2006年8月19日、強化委員会の改革や廃止を定期総会で諮るよう動議を提出するなどした。
     2006年12月11日、被申立人兵庫県ボウリング連盟は、申立人に対して2008年3月末日までの一切の競技活動を停止する旨の処分を通知した。この後、被申立人兵庫県ボウリング連盟はこの処分を2007年3月末日をもっていったん停止する旨の決定を通知し、さらに2008年3月25日付で同処分を解除する旨の決定を通知した。
     同年6月、申立人は、同処分により、申立人が行っているボウリングのボール穴開け加工業の売上が減少したとして、被申立人兵庫県ボウリング連盟を被告として神戸地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。その後、請求は棄却され、敗訴が確定した。
  • (3)第65回国民体育大会の代表選手の選出方法
     2010年9月25日開催の本国体における代表選手の選出は、同実施要項によると、所属都道府県の当該競技団体会長と都道府県体育協会会長が行うものとされている。
     このため、本国体のボウリング競技の代表選手を選出する権限は被申立人らにある。
     なお、「代表選手」の意味について申立人と被申立人兵庫県ボウリング連盟の間で認識に食い違いがあり、申立人は正選手の4名が代表選手であると述べ、被申立人は予備登録選手を含む5名全員が代表選手であると述べている。これについては、被申立人兵庫県体育協会は本国体に正選手のみ申込みをしていること、予備登録選手は国体に帯同せず、負傷等の特別な事情がなければ大会に出場できないこと等からすると、正確には代表選手ではなく代表選手候補というのが実態と考えられる。
     このように、本国体のボウリング競技の代表選手を選出する権限は被申立人らにあると認められるが、兵庫県においては、国民体育大会の代表選手の選考については、ボウリング競技に限らず、競技に関して高い専門性を有し、選手個々の能力を熟知している競技団体の会長が第一義的に行い、都道府県体育協会は各競技団体が選出した選手について、居住地、年齢等国民体育大会の出場資格を有するかどうかの確認を行うという運用がなされており、結果的には競技団体の決定をほぼ承認する形となっている。
  • (4)被申立人兵庫県ボウリング連盟における代表選手選出の経緯
     被申立人兵庫県ボウリング連盟は、あらかじめ定められた選手選考要項に基づき、本国体の代表選手(正選手及び予備登録選手)を選考するため、平成2009年8月31日と同年10月18日から12月20日にかけての2回にわたり、代表選手選考会出場認定会を開催した。
     これを受けて、2010年3月28日から同年4月18日にかけて本国体近畿ブロック大会代表選考会が開催された。同大会の3試合のアベレージの上位5名はD(217点)、申立人(216点)、B(214点)、A(213点)、C(213点)であった。
     同月25日、被申立人兵庫県ボウリング連盟の強化委員会は、成年男子の代表選手として、申立人のほか、A、B、C、Dの計5名を選出した。
     その後、同年5月2日から7月4日の間、合同の強化練習並びに合宿が行われた。
     同年6月1日、被申立人兵庫県ボウリング連盟の強化委員会は、成年男子代表の正選手としてA、B、C、Dの4名、予備登録選手として申立人を選出し、同月6日の臨時理事会でも同様の決定を行った。正選手の中では特段順位を定めなかった。
     その後、決定は変更されず、同年7月27日、被申立人兵庫県ボウリング連盟は会員に対して上記決定を内容とする通知書を送付した。
     なお、被申立人兵庫県ボウリング連盟には、代表選手及び正選手並びに予備登録選手の選出基準に関する明文の定めは存在しない。
  • (5)被申立人兵庫県体育協会における代表選手選出の経緯
     被申立人兵庫県体育協会は、被申立人兵庫県ボウリング連盟から正選手選出の連絡を受け、居住地、年齢等の要件を確認した上でこれを承認した。
     その上で、同年8月3日、被申立人兵庫県体育協会は、財団法人日本体育協会に正選手4名の名簿を提出し、本国体の申込みを行った。
     したがって、被申立人らは、遅くとも同年8月3日までに本国体ボウリング競技兵庫県成年男子の正選手を決定した。
     ただし、予備登録選手の決定と申込みは被申立人兵庫県ボウリング連盟が行っており、被申立人兵庫県体育協会は関与していない。
  • (6)正選手の変更方法
     本国体の実施要項によると、参加申込後の選手の変更は、「疾病、傷害等の特別な場合のみ」「監督会議開催前まで」に限り認められるとされている。
     ボウリング競技の監督会議は同年9月25日に開催が予定されている。
  • (7)申立人の練習費用
     申立人は同年7月15日から同年9月18日まで神戸市内のボウリング場をのべ19回利用しており、合計25,200円の料金を支払っている。
  • (8)日本スポーツ仲裁機構に対する仲裁申立て
     同年7月25日、申立人は、日本スポーツ仲裁機構に対して、財団法人全日本ボウリング協会が被申立人兵庫県ボウリング連盟の行った本国体兵庫県代表ボウリング選手の決定を取消し申立人を同代表に決定するよう指導することを求める仲裁申立てを行い、同年8月4日、受理された(JSAA-AP-2010-002)。
     同月13日、東京都内において審問が行われ、同日申立人の請求を棄却ないし却下する旨の判断が告知された。
3 争点及びこれに対する当事者の主張
  • (1) 本件の代表選手の選出は適正に行われたか、及び申立人を正選手として選出すべきか
     申立人は、同年3月28日から同年4月18日にかけて開催された本国体近畿ブロック大会代表選考会で優秀な成績を収め、これ以外の大会でも優秀な成績を残しているので、正選手として申立人を選出することが妥当であると主張している。
     したがって、被申立人兵庫県ボウリング連盟は、申立人の成績を考慮のうえ正選手の選出を適切かつ公正に行ったか、また、申立人を正選手として選出すべきか否かが問題になる。
    • (i) 申立人の主張
       同年7月27日に被申立人兵庫県ボウリング連盟が会員に通知した書面によると、本国体の代表選手として、申立人以外の4選手が正選手として選ばれ、申立人は予備登録選手として正選手に入っていなかった。
       しかし、申立人は、過去の様々な大会で好成績を収め、本国体の近畿ブロック大会代表選考会でもアベレージで2位の好成績を収めている。
       被申立人兵庫県ボウリング連盟はチームワークを重視して選出したと言うが、ボウリングは基本的に個人競技であり、チームワークを判断要素として考慮するのは相当ではない。また、申立人は被申立人兵庫県ボウリング連盟と折り合いが悪く、このことが選考に影響した可能性がある。
       したがって、被申立人らは、本国体の兵庫県成年男子代表の正選手のいずれか1名を取消し、代わりに申立人を正選手として選出すべきである。
    • (ii) 被申立人兵庫県ボウリング連盟の主張
       本国体の代表選手選考は、同年3月28日のミーティングで選考会の趣旨を説明し、この手続に則って行われている。
       同年6月1日の強化委員会では、選考会のスコアのほか強化練習等における状況を参考に、総監督、監督、コーチらの意見を聞いた上で討議した。前回大会の不振を反省し、本国体で好成績を収めるためには得点の高い団体戦を重視する必要があり(個人戦8点、団体戦2種目につき各24点)、選考会でのスコアに限らず、体力やチームワーク、選手間のコミュニケーション等の要素を総合的に考慮して判断することにした。
       この結果、兵庫県成年男子代表選手の正選手としてA、B、C、Dの4名、予備登録選手として申立人とすることを満場一致で決定し、同月6日の臨時理事会でもこのとおりに承認されたものである。
       以上のとおり、被申立人兵庫県ボウリング連盟は、あらかじめ作成・案内した手続に則り、専門的見地に立って、本国体での成績を重視する観点から、適正かつ公正に選手選考を行っており、何ら問題はない。
    • (iii) 被申立人兵庫県体育協会の主張
       代表選手の選考は、都道府県大会の成績、専門性を生かした選手分析、チーム力の最大限の発揮など、総合的な見地からなされるものである。
       本国体における選考でも、被申立人兵庫県ボウリング連盟は、代表選考会の成績のほか、団体戦で活躍できるかどうかという観点から総合的に判断したものであり、臨時理事会を開催するなどして手続きも適正に行っている。
       一般的に選手選考は、選考する側に重大な規則違反等がない限り、その裁量が認められるものであり、本件も裁量の範囲内である。
  • (2) 成年男子代表監督を解任すべきか
    • (i) 申立人の主張
       申立人との関係を考慮すると、申立人が正選手として大会に出場する場合は代表監督として適任ではない。
    • (ii) 被申立人兵庫県ボウリング連盟の主張
       成年男子代表監督は必要な資格を備え、人格・技術とも問題ないので、解任する必要はない。
  • (3) 申立人が主張する組織改革は必要かつ相当なものか
    • (i) 申立人の主張
       代表選手選考を主観に依拠せず適正に行うためには、被申立人兵庫県ボウリング連盟の会長、副会長、理事及び監事のうち一定数を同被申立人の会員でない者から構成されるよう改めるべきである。
       また、選手選考を監督するために、被申立人兵庫県ボウリング連盟の会員でなく、かつスポーツ経験を有する有識者を委員とする専門委員会を設置し、また、同被申立人のアマチュア審査委員会委員として、同被申立人の会員でなく、かつスポーツ経験を有する有識者を委員として選任することを求める。
    • (ii) 被申立人兵庫県ボウリング連盟の主張
       現状の組織や構成で重大な問題は発生していないので、申立人が主張する制度改革はいずれも必要ない。
  • (4) 被申立人らは申立人の練習費用を負担すべきか
    • (i) 申立人の主張
       正選手であれば本国体までは1ゲーム100円でボウリング場を利用できるところ、正選手に選出されなかったため差額分を自己負担している。
       申立人は正選手として認められるべきであるから、この差額分の合計25,200円は被申立人らが負担すべきである。
    • (ii) 被申立人らの主張
       被申立人兵庫県ボウリング連盟としては、練習ゲーム料金については協力の要請に留めており、料金の設定等は競技場に任せている。
       代表選手(正選手)として選出されていないので認められない。
第4 争点に対する判断
1 本件の代表選手の選出は適正に行われたか、及び申立人を正選手として選出すべきか
  • (1) 申立人が主張するとおり、申立人は、本国体近畿ブロック大会代表選考会でアベレージで2位の好成績を収めており、過去にもさまざまな大会で優秀な成績を残していると認められる。
     しかしながら、代表選手(もしくは正選手)を選出する場合は、記録上位者から自動的に選出する旨の基準があらかじめ定められてあれば格別、このような基準がない場合は、競技団体としては、当該競技に関する専門的見地及び大会で好成績を挙げるための戦略的見地から、記録以外のさまざまな事情、たとえば技術以外の能力、調子、実績、相性等を総合考慮して判断することも、選手選考の性質上必要かつやむをえないところと考えられる。ただ、選考過程において、記録を考慮せず恣意的な判断を行う等、競技団体としての専門性を放棄するような裁量を逸脱する判断が行われた場合のみ取り消すことができるとするのが相当である。
     本件では、本国体近畿ブロック大会代表選考会のアベレージは4点差の中に正選手及び予備登録選手5名が入っており、さほど差があるとは言えず、申立人も他の選手と比べて突出した成績を残しているとまではいえない。しかも、本国体での得点数は団体競技の比重が高く、前年度大会の反省をもとに、団体戦での得点を重視し、スコア以外の諸要素(チームワークやコミュニケーション等)を考慮したという被申立人兵庫県ボウリング連盟の判断は、判断の方法として合理的と理解しうるところであり、少なくとも裁量を不当に逸脱する判断があったとまではいえず、本仲裁パネルに提出された各証拠からもこれに見合う事実は認められない。
     また、被申立人兵庫県ボウリング連盟との関係が選手選考に影響したという主張も証拠上明らかとされていない。
  • (2) なお、仮に申立人の要望を容れて選手選考をやりなおすとすれば、監督会議が予定されている同年9月25日まで事実上1日しか猶予がないことになり、この間に被申立人兵庫県ボウリング連盟は理事会を招集して、正選手内の順位が決まっていなければ代わりに誰を外すのかについても直ちに判断しなければならないことになるが、いずれにせよ極めて困難と考えられる。また、団体戦でのチーム編成や試合への取組みなど、同月26日から始まる公式戦に大きな支障を来すことは必至と考えられる。
  • (3) 以上からすると、被申立人兵庫県ボウリング連盟において、本国体ボウリング競技兵庫県成年男子代表選手の正選手選考をやり直し、新たに申立人を正選手として選出することは認められない。
2 成年男子代表監督を解任すべきか
 申立人は、代表監督の解任も請求しているが、解任を必要とする事情が明らかにされていないため、請求は認められない。
3 申立人が主張する組織改革は必要かつ相当なものか
 申立人は、被申立人社団法人兵庫県ボウリング連盟において、役員の一部を会員でない者から選んだり、選手選考を監督するために非会員の有識者を委員とする専門委員会を設置したり、審査委員会委員として非会員の有識者を委員として選任するよう求めている。
 これらの提案は、一般論として有用性は認められるものの、本事案で直ちに必要かつ相当と認められるか否か明らかでなく、いずれにせよ競技団体またはその機関が行った決定とはいえず、スポーツ仲裁規則2条1項に定める申立ての要件を欠いているため、仲裁判断の対象とならない。
4 被申立人らは申立人の練習費用を負担すべきか
 申立人は、被申立人らに対して、正選手に選出されなかったために負担した練習費用の差額分として25,200円を請求しているが、同じくスポーツ仲裁規則2条1項に定める申立ての要件を欠いているため、仲裁判断の対象とならない。
第5.結論
以上のことから、主文のとおり判断する。
仲裁地 東京都
2010年9月23日
スポーツ仲裁パネル
仲裁人 宮島 繁成

以上は、仲裁判断の謄本である。
一般財団法人日本スポーツ仲裁機構
代表理事(機構長) 道垣内正人

※申立人等、個人の氏名、地域名はアルファベットに置き換え、各当事者の住所については削除してあります。

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