仲裁判断

仲裁判断(2017年8月18日公開)


仲裁判断

仲 裁 判 断
公益財団法人日本スポーツ仲裁機構
JSAA-DP-2016-001

申   立   人 : X

申立人代理人 : 弁護士 飯田 研吾

        弁護士 望月 浩一郎

被  申  立  人: 公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構

被申立人代理人: 弁護士 辻居 幸一

         弁護士 佐竹 勝一

 

主  文

 

本件スポーツ仲裁パネルは次のとおり判断する。

1 日本アンチ・ドーピング規律パネルが2016-008事件について2016年12月26日にした決定のうち、「本規程10.2.1.1項本文及び同10.11.3.1項に従い、申立人を、平成28年10月28日より4年間の資格停止とする。」との部分を取り消す。
2 日本アンチ・ドーピング規程10.2.2項、同10.5.1.2項及び同10.11.3.1項に従い、平成28年10月28日より4ヶ月間の資格停止とする。
3 申立料金54,000円は、申立人の負担とする。
4 被申立人は、申立人に対し、申立人が負担したサプリメントの検査(進行協議期日において確認のうえ実施されたもの)に要した費用のうち、金56,070円を支払え。

 

理  由

第1 当事者の求めた仲裁判断

当事者の求めた仲裁判断は、以下のとおりである。

1 申立人の求めた仲裁判断

(1) 日本アンチ・ドーピング規律パネルが2016-008事件について2016年12月26日にした決定を全部取り消す。

(2) 仲裁費用は、被申立人の負担とする。

2 被申立人の求めた仲裁判断

(1) 申立人の請求を棄却する。

(2) 仲裁費用は申立人の負担とする。

 

第2 事案の概要

 本件は、申立人が平成28年10月8日に開催された第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」自転車トラック・レース(以下「本競技会」という。)に参加した際に、同日実施されたドーピング検査(以下「本件検査」という。)を受けたところ、申立人の尿検体から、世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という。)が公表する2016年禁止表国際基準(以下「禁止表」という。)に定める「S1. 蛋白同化薬/1.蛋白同化男性化ステロイド薬(ASS)/a.外因性ASS」に該当する、1-テストステロン(1-Testosterone)の代謝物である5α-androst-1-en-3α-ol-17-one及び1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)(以下「本件検出物資」という。)が検出されたことにより、日本アンチ・ドーピング規程(以下「JADA規程」という。)2.1項の規則違反として、日本アンチ・ドーピング規律パネルが申立人に対して同年12月26日付で行った下記の決定(別紙2参照)(以下「原決定」という。)に対して、申立人が原決定の取消し、並びにJADA規程10.2.2項及び10.5.1.2項の適用を求めて仲裁申立てをした事案である。

(原決定の内容)

・ JADA規程2.1項の違反が認められる。

・ JADA規程9条及び同10.8項に従い、平成28年10月8日(検体採取の日)から同年10月28日(暫定的資格停止期間の開始日)までに獲得された競技者のすべての個人成績(第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」自転車トラック・レースにおける競技成績を含む。)はいずれも失効し、かつ、上記期間において獲得されたメダル、得点、及び褒章はいずれも剥奪される。

・ JADA規程10.2.1.1項本文及び同10.11.3.1項に従い、平成28年10月28日より4年間の資格停止とする。

 

第3 判断の前提となる事実

 本件仲裁において、両当事者間で争いのない事実並びに当事者双方より提出された証拠及び本件仲裁の全趣旨に基づき、本件スポーツ仲裁パネルが認定する事実関係は以下のとおりである。

1 当事者

(1) 申立人

 申立人は、公益財団法人福井県体育協会(以下「福井県体育協会」という。)に勤務する自転車競技の選手であり、同競技の主な戦績は、以下のとおりである(甲32、申立人本人尋問)。


平成23年
インターハイ スクラッチ優勝
第66回国民体育大会(山口)少年男子ポイントレース5位
平成24年
第67回国民体育大会(岐阜)チームスプリント優勝
平成25年
全日本自転車競技選手権大会 団体追い抜き3位
第68回国民体育大会(東京)チームスプリント6位
平成26年
全日本自転車競技選手権大会 トラック・レース男子マディソン2位
第69回国民体育大会(長崎)チームスプリント7位
平成27年
全日本学生選手権 1㎞タイムトライアル優勝
全日本自転車競技選手権大会 トラック・レース男子マディソン優勝
第70回国民体育大会(和歌山)チームスプリント3位、1㎞タイムトライアル7位
平成28年
全日本自転車競技選手権大会 トラック・レース男子マディソン優勝
第71回国民体育大会(岩手)チームスプリント3位、ケイリン優勝

    

(2) 被申立人

 被申立人は、日本においてアンチ・ドーピング活動を推進する公益財団法人である。

2 申立人が摂取していたサプリメント及び本件検出物質の検出

(1)申立人は、本件検査の実施前に、別紙3記載のサプリメント(但し、別紙3④-2記載のサプリメントを除く。以下、総称して「本件サプリメント」という。)を、練習前後、練習中、就寝前又は毎食後に、継続的に摂取していた(甲32)。

(2)申立人は、本件検査時に提出したドーピング・コントロール・フォームに、本件検査実施日の7日間以内に使用した処方薬、市販薬、栄養補助食品類(サプリメント)として、「マルチビタミン、クレアチン、BCAA、グルタミン、ロディオラロゼラ、カフェイン、チロシン及びオルニチン」と記載した(甲26)。

(3)本件検査の結果、申立人の尿中から禁止表記載のJADA規程2.1項に抵触する禁止物質(以下「禁止物質」という。)たる「S1.蛋白同化薬/1.蛋白同化男性化ステロイド薬(ASS)/a.外因性ASS」に該当する本件検出物質が検出された(申立趣意書添付資料2、原決定)。

3 制裁措置

(1)申立人は、本件検査の結果を受けて、平成28年10月28日から、JADA規程7.9.1項に基づく暫定的資格停止を課された。

(2)日本アンチ・ドーピング規律パネルは、平成28年12月26日に開催された聴聞会の結果に基づき、同日、原決定を下し、申立人を平成28年10月28日から4年間の資格停止とした。

4 申立人のドーピング検査歴

申立人には、本件検査を含めて、以下の各競技会においてドーピング検査を受けた経験があり、本競技会以前に受けたドーピング検査では、禁止物質が検出されたことはなかった(甲32、申立人本人尋問)。


平成26年4月19日~20日 第83回全日本自転車競技選手権大会トラック・レース
平成27年4月11日 全日本トラック選手権
平成27年7月4日~5日 第56回全日本学生選手権トラック自転車競技大会
平成28年4月16日~17日 第85回全日本自転車競技選手権大会トラック・レース
平成28年10月8日 第71回国民体育大会(本競技会)

5 本件サプリメントの検査結果

(1)本件検出物質の摂取経路がサプリメントであったことを前提とした場合には、以下のいずれか又は複数の物質が本件検出物質の原因物質であった可能性が極めて高い。


① 1-テストステロン(1-testosterone)
② 1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)
③ 1-デヒドロエピアンドロステロン(1-DHEA)
④ 1-アンドロステロン(1-androsterone)
⑤ 1-アンドロステンジオール(1-androstenediol)

  

(2)申立人は、WADA認定の分析機関であり、米国ユタ州ソルトレークシティに所在するThe Sports Medicine Research and Testing Laboratory(以下「SMRTL」という。)に対して、本件仲裁の進行協議期日において被申立人との間で合意した方法によって、本件サプリメント(但し、別紙3⑪記載のサプリメントを除き、同④-2記載のサプリメントを含む。以下、本5項において同じ。)に上記(1)記載の原因物質が含有されているか否かの検査(以下「本件サプリメント検査」という。)を依頼した。

(3)本件サプリメント検査の結果、本件サプリメントのうち、ANAVITE(平成28年8月26日購入分)(別紙3④-1)及びANAVITE(平成28年9月7日購入分)(別紙3④-2)の両方から、本件検出物質又はその原因物質である可能性が極めて高い1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)が、それぞれ、1錠につき約50ナノグラム及び1錠につき約40ナノグラムが検出された(甲28、29)。なお、これらのうち、申立人が本競技会に参加する前に摂取していたのは、ANAVITE(平成28年8月26日購入分)(別紙3④-1)(以下「本件ANAVITE」という。また、別途定義するものを除き、製品としてのANAVITE一般を指して、以下「ANAVITE」という。)のみであり、ANAVITE(平成28年9月7日購入分)(別紙3④-2)は、本件サプリメント検査にあたって、本件ANAVITEの残量がわずかであったことから、検査試料としての十分性を確保するために提出されたものである(但し、製造番号は本件ANAVITEと同一である。)。

 また、上記のほか、本件サプリメント検査の結果、本件ANAVITEから、1錠につき約300ナノグラムの禁止物質たるDHEAが検出され、QH-Absorb(別紙3②)から1錠につき約90ナノグラムの禁止物質たるオキサンドロロン(oxandrolone)が検出された(甲16、28)。

6 前回競技会前のANAVITEの使用及びドーピング検査の結果

 申立人は、本競技会の前に出場した直近の競技会である第85回全日本自転車競技選手権大会トラック・レース(以下「前回競技会」という。)への参加前にも、本件ANAVITEと同様のANAVITE(平成27年9月7日購入分。製造番号不明)を継続的に摂取していたが、上記競技会時に実施されたドーピング検査においては、本件検出物質その他の禁止物質は検出されなかった(甲32、申立人本人尋問)。

 

第4 仲裁手続の経過

 別紙1・仲裁手続きの経過のとおり。

 

第5 争点

1 争点となる原決定の判断部分

 本件は、申立人が原決定の取消し、並びにJADA規程10.2.2項及び10.5.1.2項の適用を求めるものであるが、申立人は、原決定のうち、JADA規程2.1項違反並びにJADA規程9条及び同10.8項に基づく成績の失効については、特段争っておらず、これらが適用されないことに関して主張・立証を行っていない。

 したがって、本件仲裁において争いのある原決定の判断は、JADA規程10.2.1.1項本文及び同10.11.3.1項に基づき、申立人に対して平成28年10月28日より4年間の資格停止(以下「本件資格停止処分」という。)を課した部分である。

2 争点となるべき論点

(1)申立人は、本件資格停止処分に対して、JADA規程10.2.2項及び10.5.1.2項が適用され、少なくとも3ヶ月よりも短い資格停止期間あるいは譴責とされるべきであると主張する。かかる申立人の主張の当否を検討するにあたっては、以下の点が論点となる。

(2)本件ANAVITEの摂取が「意図的ではなかった」旨の立証の有無(争点1)

 JADA規程10.2.1項、10.2.1.1項及び10.2.2項は、JADA規程2.1項違反による資格停止期間につき、以下のとおり定めている。


10.2.1 資格停止期間は、次に掲げる場合には4年間とする。
10.2.1.1 アンチ・ドーピング規則違反が特定物質に関連しない場合。但し、競技者又はその他の人が、当該アンチ・ドーピング規則違反が意図的ではなかった旨を立証できた場合を除く。
10.2.2 第10.2.1項が適用されない場合には、資格停止期間は2年間とする。

  

 本件資格停止処分は、本件検査で申立人の尿から本件検出物質が検出されたこと(JADA規程2.1項違反)について、本件検出物質が特定物質(JADA規程4.2.2項参照)に関連しないことから(以下、特定物質に該当しない禁止物質を「非特定物質」という。)、上記JADA規程10.2.1.1項本文に基づき資格停止期間を4年とする。これに対して、申立人は、本件検査において検出された本件検出物質又はその原因物質は、本件ANAVITEに含有された1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)であるところ、申立人がANAVITEを摂取したことは、意図的ではなかったことから、JADA規程10.2.1.2項が適用されるべきと主張する。そこで、本件では、本件検出物質又はその原因物質が本件ANAVITEに含有された1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)であることについては争いがないことから、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて、「意図的ではなかった」旨の証明(JADA規程10.2.1.1但書)があったか否かが問題となる。

 もっとも、被申立人は、この点に関して、申立人がANAVITEを摂取した後に行われた前回競技会におけるドーピング検査において陰性という結果が出ていた事実に鑑みて、申立人が本件ANAVITEを摂取したことが「意図的ではなかった」ことについて特段争わない旨表明している。

(3)本件ANAVITEの摂取について「重大な過誤又は過失がないこと」の立証の有無(争点2)

 本件で、申立人により本件ANAVITEの摂取が「意図的ではなかった」旨の立証があった場合には、JADA規程10.2.2項により、申立人の資格停止期間は2年間となるが、更に、下記JADA規程10.5.1.2項が適用されれば、最短で資格停止期間を伴わない譴責から最長2年間の範囲で資格停止期間が短縮されることになる。

 

10.5.1.2 汚染製品

 競技者又はその他の人が「重大な過誤又は過失がないこと」を立証できる場合において、検出された禁止物質が汚染製品に由来したときには、資格停止期間は、競技者又はその他の人の過誤の程度により、最短で資格停止期間を伴わない譴責とし、最長で2年間の資格停止期間とするものとする。

 

 申立人は、上記JADA規程10.5.1.2項の適用を主張するところ、まず、本件ANAVITEに含有された1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)が本件検出物質又はその原因物質であること、及び本件ANAVITEがJADA規程10.5.1.2項に定める「汚染製品」(製品ラベル及び合理的なインターネット上の検索により入手可能な情報において開示されていない禁止物質を含む製品をいう(JADA規程付属文書1 定義参照)。)に該当することについては争いがない。したがって、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて「重大な過誤又は過失がないこと」が立証された場合には、申立人の資格停止期間は、JADA規程10.5.1.2項に基づき短縮されることになることから、本件において、かかる「重大な過誤又は過失がないこと」の立証があったか否かが問題となる。

 もっとも、被申立人は、この点に関して、申立人がANAVITEを摂取した後に行われた前回競技会におけるドーピング検査において陰性という結果が出ていた事実に鑑みて、申立人が本件ANAVITEを摂取したことにつき、「重大な過誤又は過失がないこと」を特段争わない旨表明している。

(4)「過誤の程度」~資格停止期間の短縮(争点3)

 本件で、申立人により本件ANAVITEの摂取について「重大な過誤又は過失がないこと」が立証された場合には、JADA規程10.5.1.2項に基づき、申立人又はその他の人の「過誤の程度」によって、最短で資格停止期間を伴わない譴責から最長2年間の範囲で資格停止期間が短縮されることになる。

 そこで、本件で申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて、申立人又はその他の人に認められる「過誤の程度」及び当該「過誤の程度」に鑑みて申立人に課すべき具体的な資格停止期間が問題となる。

 

第6 本件スポーツ仲裁パネルの判断

1 争点1(本件ANAVITEの摂取が「意図的ではなかった」旨の立証の有無)について

(1)前提事実及び証拠によれば、本件検査において申立人の尿中から本件検出物質が検出されたのは、本件検出物質の原因物質たる1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)を含有する本件ANAVITEを申立人が摂取していたことによることが認められる。したがって、本件で申立人が主張するJADA規程10.2.2項の適用を受けるためには、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて、「意図的ではなかった」旨の証明がなされる必要がある。

(2)この点、「意図的」とは、「競技者又はその他の人が、自らの行為がアンチ・ドーピング規則違反を構成することを認識した上でその行為を行ったか、又は、当該行為がアンチ・ドーピング規則違反を構成し若しくはアンチ・ドーピング規則違反の結果に至りうる重大なリスクがあることを認識しつつ、当該リスクを明白に無視したこと」とされている(JADA規程10.2.3項)。

 本件では、前提事実及び証拠により、申立人の尿中から検出された本件検出物質が申立人の体内に侵入した経路については、申立人が、本件検出物質又はその原因物質たる1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)を含有する本件ANAVITEを摂取したことによるものであることが認められ、また、申立人が本件ANAVITEを摂取する際の事情として、後記3(4)ウ(申立人が本件ANAVITEの摂取に際して払った注意)及びエ(前回競技会におけるドーピング検査の結果)の事実が認められるところ、被申立人においても、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて「意図的ではなかった」ことを特段争わない旨表明していることも合わせ考慮すれば、申立人が、アンチ・ドーピング規則違反を構成することを認識して本件ANAVITEを摂取したことや、申立人が、アンチ・ドーピング規則違反を構成し若しくはアンチ・ドーピング規則違反の結果に至りうる重大なリスクがあることを認識しつつ、当該リスクを明白に無視して本件ANAVITEを摂取したと認めることはできない。

(3)したがって、本件では、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて、「意図的ではなかった」旨の証明がなされたと判断できる。

2 争点2(本件ANAVITEの摂取について「重大な過誤又は過失がないこと」の立証の有無)について

(1)上記1のとおり、本件では、申立人の本件ANAVITEの摂取が「意図的ではなかった」旨の立証がなされたと判断できることから、JADA規程10.2.2項により、原則として、申立人の資格停止期間は2年間となるところ、申立人は、JADA規程10.5.1.2項が適用され、資格停止期間が短縮されるべき旨主張する。この点、前提事実及び証拠によれば、本件検査で「検出された禁止物質」たる本件検出物質が「汚染製品」(製品ラベル及び合理的なインターネット上の検索により入手可能な情報において開示されていない禁止物質を含む製品をいう(JADA規程付属文書1 定義参照)。)であることが認められることから、本件で申立人が主張するJADA規程10.5.1.2項が適用されるためには、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて「重大な過誤又は過失がないこと」が立証される必要がある。

(2)この点、「重大な過誤又は過失がないこと」とは、「競技者又はその他の人が、事情を総合的に勘案し、過誤又は過失がないことの基準を考慮するにあたり、アンチ・ドーピング規則違反との関連において、当該競技者又はその他の人の過誤又は過失が重大なものではなかった旨を証明した場合をいう。18歳未満の者の場合を除き、第2.1項の違反につき、競技者は禁止物質がどのように自らの体内に入ったかについても証明しなければならない。」とされているところ(JADA規程付属文書1 定義)、前提事実及び証拠によれば、申立人の尿中から検出された本件検出物質が申立人の体内に侵入した経路については、申立人が、本件検出物質又はその原因物質たる1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)を含有する本件ANAVITEを摂取したことによるものであることが認められる。

 そして、本件では、申立人が本件ANAVITEを摂取する際の事情として、後記3(4)ウ(申立人が本件ANAVITEの摂取に際して払った注意)及びエ(前回競技会におけるドーピング検査の結果)の事実が証拠上認められること、並びに、被申立人において、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて「重大な過誤又は過失がないこと」を特段争わない旨表明していることも合わせ考慮すれば、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて「重大な過誤又は過失がないこと」が立証されたものと判断できる。

3 争点3(「過誤の程度」~資格停止期間の短縮)について

上記1及び2のとおり、本件では、申立人が本件ANAVITEを摂取したことについて、「意図的ではなかった」旨の立証がなされたと判断でき、かつ、「重大な過誤又は過失がないこと」が立証されたものと判断できることから、JADA規程10.2.2項及び10.5.1.2項が適用され、本件資格停止処分は、申立人又はその他の人の「過誤の程度」によって、最短で資格停止期間を伴わない譴責から最長2年間の範囲で資格停止期間が短縮されることになる。

(1)申立人の主張

 申立人は、JADA規程10.5.1.2項に基づく資格停止期間の短縮について、以下の各事情に鑑みて、少なくとも3ヶ月よりも短い資格停止期間あるいは譴責とされるべきである旨主張する。

① 申立人は、平成27年9月7日に、「1 PROTEIN.COM」というサプリメント等を販売するウェブサイトにおいて、「商品名ANAVITE」(以下「ANAVITE(平成27年9月7日購入分)」という。)を購入し、以後、前回競技会の頃までは、毎食後1錠程度摂取し(摂取しない日もあった)、それ以後は、規則的に毎食後3錠ずつ摂取していた。

② ANAVITEの製造者であるGaspari Nutrition(以下「ガスパリ社」という。)は、有名なプロボディビルダーとスポンサー契約を締結するなど、世界でも有名かつ信頼のおけるメーカーである。

③ 申立人は、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)の購入に際して、「1 PROTEIN.COM」のサイトに掲載されていたANAVITEの成分表及び申立人が購入したANAVITE(平成27年9月7日購入分)のパッケージに、禁止表記載の禁止物質や実体が明らかでない物質が表示されていないことを確認しており、申立人において、ANAVITEがJADA規程違反の危険性がある製品であることを意識させる状況ではなかった。

④ 申立人がインターネット検索を行ったところ、ANAVITEを摂取したことによるドーピング違反事例の報告は見つからず、同製品の危険性について警告する記事も見当たらなかった。

⑤ 申立人が同じチームに所属する選手とサプリメントの話をしたときにも、ANAVITEに禁止物質が含まれている可能性があることや、ANAVITEを摂取したことによりドーピング違反に問われた選手が存在するという話は聞いたことがなかった。

⑥ 申立人がインターネット検索を行ったところ、ANAVITEを摂取しながらドーピング検査を受けてもドーピング違反に問われなかった旨の内容が記載された記事を確認した。

⑦ 国民体育大会で優勝経験のある申立人の後輩がANAVITEを使用していたものの、同選手がドーピング違反に問われたことはなく、申立人はこのことを知っていた。

⑧ 申立人がANAVITE(平成27年9月7日購入分)を摂取していた前回競技会において受けたドーピング検査では、陰性という結果であったことから、申立人は、ANAVITEには禁止物質が含まれていないことの強い確信を持つに至った。

⑨ 申立人は、本件検査時に提出したドーピング・コントロール・フォームに本件ANAVITEを記載して申告していたことから(甲26)、申立人に有利な事情として勘案されるべきである(JADA規程10.5.1.2項の解説参照)。

⑩ 日本アンチ・ドーピング規律パネル決定2015-001事件(甲30)では、禁止物質(特定物質)を含有していたサプリメントの製品ラベルには競技者の体内から検出された禁止物質の表示がなかったものの、製品ラベルやインターネット検索によって、禁止物質が含まれている可能性を十分に認識できた事案であるにもかかわらず、資格停止期間が8ヶ月間とされている。

(2)被申立人の主張

 上記(1)の申立人の主張に対して、被申立人は、以下の各事情に鑑みて、申立人の資格停止期間は、10ヶ月を下らないとされるべきである旨主張する。

① ANAVITEは、含有されている全ての成分が明確ではなく、禁止物質が含有されている可能性がある海外製のサプリメントであるところ、申立人が高校時代から現在に至るまで7年間にわたって受けてきたアンチ・ドーピングに関する指導教育の中で、海外製サプリメントについては、特に注意して成分を確かめるようにアドバイスを受けていたことから、海外製のサプリメントであるANAVITEを自らの意思で摂取した申立人には、たとえラベルやインターネット上の検索等によってANAVITEには禁止物質が含有されていないと認識していたとしても、過誤又は過失が全くなかったとはいえない。

② ANAVITEのメーカーであるガスパリ社が製造するサプリメント「SP250」を摂取した競技者から禁止物質が検出され、申立人が本件ANAVITEを摂取した時期よりも前の平成27年12月8日と平成28年3月16日に、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定によってJADA規程に違反する旨の決定がなされており(乙20、21)、かつ、それぞれの決定が確定した後に、速やかに被申立人のホームページに決定の全文が公開されていること、また、「ガスパリ」及び「ドーピング」を検索ワードに入れてgoogle.co.jpで検索を行うと、ガスパリ社製サプリメント「SP250」でドーピング違反となったことを紹介するブログ記事が複数確認でき、例えば、乙22号証の記事(「ギャスパリ【SP250】でドーピング違反になったというニュースを解説」と題する記事)は、平成28年4月24日付けで公開されていることから、申立人が本件ANAVITEを摂取した平成28年8月~10月の時点において、ガスパリ社製のサプリメントの危険性について容易に確認できた状況にあったところ、申立人は、かかる容易に認識できる情報の確認を怠ってガスパリ社製のサプリメントである本件ANAVITEを摂取していた。

また、「汚染製品」(JADA規程10.5.1.2項)の問題は、メーカーの製造プロセスや製造設備の問題に由来することから、自らが摂取するサプリメントがどのメーカーにより製造されたものであるかは「汚染製品」のリスクを判断するうえできわめて重要な情報である。したがって、申立人は、ガスパリ社あるいはガスパリ社の製品がドーピング違反に関わっていたかを確認すべきであったにもかかわらず、平成28年8月~10月の時点で「ガスパリ」及び「ドーピング」に関してインターネットでの検索を行わず、上記確認を怠った。

③ 本件検査では検出されていないが、本件サプリメント検査の結果、申立人が摂取した「QH-absorb」(別紙3②記載のサプリメント)から、禁止物質であるオキサンドロロン(oxandrolone)が検出されている。

(3)被申立人の主張に対する申立人の反論

 申立人は、上記(2)②及び③の被申立人の主張に対して、以下のとおり反論する。

① ガスパリ社製の「SP250」のラベルには、“THIS PRODUCT MAY CONTAIN INGREDIENTS BANNED BY CERTAIN ORGANIZATIONS. USE ASSUMES ALL RISKS, LIABILITIES OR CONSEQUENCES REGARDING TESTING.”との警告文が太字で明記され(乙20、21)、ガスパリ社が禁止物質の含有を示し、警告を発しているのに対して、ANAVITEには、同様の表示や警告文は明記されていないことから、仮に申立人が「SP250」に関する上記情報に接していれば(実際には、当該情報には接していない。)、ガスパリ社は、禁止物質が含まれている可能性のあるサプリメントについて警告文を掲載する良心的な信頼に足るサプリメントメーカーであると認識することになり、そのようなガスパリ社が警告文を掲載していないANAVITEについては、禁止物質が含有されていないと判断したであろうから、申立人は平成28年8月~10月の時点において、ガスパリ社製のサプリメントの危険性について容易に確認できる状況であったとの被申立人の主張はあたらない。

② 申立人が初めてANAVITEを購入したのは、「SP250」から禁止物質が検出され、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定がなされた平成27年12月8日より前の同年9月7日であるから、申立人は、当該時点においてガスパリ社製のサプリメントの危険性について確認することはできなかった。

③ 申立人が2回目にANAVITEを購入した平成28年8月26日時点では、「SP250」から検出された禁止物質に関する日本アンチ・ドーピング規律パネル決定(乙20、21)は公開されていたが、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)を摂取していた期間に受けた前回競技会でのドーピング検査において陰性という結果が出ており、申立人においてANAVITEには禁止物質が含まれてないとの確信を持つに至っていた。

④ 本件サプリメント検査の結果、「QH-absorb」(別紙3②記載のサプリメント)から禁止物質が検出されているが、本件検査においては、申立人の尿中から当該禁止物質は検出されておらず、また、そもそも、本件検査時に申立人が摂取していた「QH-absorb」は、本件サプリメント検査時に検査対象としてSMRTLに提出されたボトルと異なるボトルのものである。

(4)本件スポーツ仲裁パネルの判断

ア 「過誤の程度」の判断基準

 JADA規程10.5.1.2項に基づく資格停止期間の短縮は、競技者又はその他の人の「過誤の程度により」、最短で資格停止期間を伴わない譴責から最長2年間の範囲で決せられることになるところ、JADA規程は、「過誤」の定義及び「過誤の程度」の評価要素等について、以下のとおり定めている(JADA規程付属文書1 定義参照)。

 

『「過誤」とは、義務の違反又は特定の状況に対する適切な注意の欠如をいう。競技者又はその他の人の過誤の程度を評価するにあたり考慮すべき要因は、例えば、当該競技者又はその他の人の経験、当該競技者又はその他の人が18 歳未満の者であるか否か、障がい等の特別な事情、当該競技者の認識すべきであったリスクの程度、並びに認識されるべきであったリスクの程度との関係で当該競技者が払った注意の程度及び行った調査を含む。競技者又はその他の人の過誤の程度を評価する場合に考慮すべき事情は、競技者又はその他の人による期待される行為水準からの乖離を説明するにあたり、具体的で、関連性を有するものでなければならない。そのため、例えば、競技者が資格停止期間中に多額の収入を得る機会を失うことになるという事実や、競技者に自己のキャリア上僅かな時間しか残されていないという事実、又は競技カレンダー上の時期は、第10.5.1項又は第10.5.2項に基づき資格停止期間を短縮するにあたり関連性を有する要因とはならない。』

 

 また、「過誤の程度」の評価に関して、JADA規程10.5.1.2項の解説では、「競技者の過誤の程度を評価するにあたり、例えば、汚染されていると後に判断された製品について、競技者が、ドーピング・コントロール・フォームに申告していた場合には、競技者に有利となる。」と定められている。

そこで、本件における申立人の資格停止期間の短縮についても、上記判断要素等を考慮して検討する。

イ 申立人の経験及びサプリメントの使用に関する認識

証拠(甲32)及び申立人本人尋問によれば、申立人は、高等学校への進学後に自転車競技を始めるようになり、高校3年時に国民体育大会に出場した際に、初めてアンチ・ドーピングの講習を受け、以来、国民体育大会参加時の講習を中心に、少なくとも合計6回はアンチ・ドーピングの指導・教育を受けてきたことが認められる。そのうえで、前記第3の4のとおり、申立人は、本競技会における本件検査の実施までに、合計4回のドーピング検査を受けており、それらの検査では、いずれも禁止物質は検出されなかった。

 また、申立人は、サプリメントについて、上記アンチ・ドーピングの指導・教育の中で、「注意して摂取するように」との指導を受けていたほか、被申立人のホームページを確認して、サプリメントには禁止物質が含まれている場合があり、サプリメントだから大丈夫だと思った等という弁明が許されないこと、使用には十分注意するよう警告がなされていたこと、サプリメントの表示成分は十分に確認するよう注意が促されているものの、サプリメントは表示成分を確認しただけでは、安心できない旨の注意喚起がなされていることを確認していた。もっとも、どのような確認を行えば安心してサプリメントを摂取できるのかについての具体的方法については、上記アンチ・ドーピングの指導・教育においても教示されず(なお、証人尋問によれば、福井県体育協会が行っていたアンチ・ドーピング活動の研修会等においては、この点に関する指導を行っていなかったことが認められる。)、また、被申立人のホームページでも確認できなかった。これらを踏まえて、申立人としては、禁止物質が含まれていないことを十分に確認すればサプリメントを使用しても大丈夫であるとの認識を有していた。

ウ 申立人が本件ANAVITEの摂取に際して払った注意

(ア)証拠(甲32)及び申立人本人尋問によれば、申立人は、平成27年9月7日に、「1 PROTEIN.COM」というサプリメント等の販売サイトにおいて購入したANAVITE(平成27年9月7日購入分)に関して、以下の内容を確認した。

① 「1 PROTEIN.COM」のサイトに掲載されていたANAVITEの成分表及びANAVITE(平成27年9月7日購入分)のパッケージに、禁止表記載の禁止物質や実体が明らかでない物質が表示されていないこと。

② ANAVITEのメーカーであるガスパリ社のホームページに、同社の製品が、cGMP(current Good Manufacturing Practiceの略。製品ラベルに表示される身元、組成、品質、純度等を製品が保証するためのプロセスや手続き、文書等の体系に関する米国食品医薬品局が示したガイドライン。)認証を受けている会社において製造されている旨記載されていること。

④ 申立人がインターネットにより「ANAVITE」や「ANAVITE ドーピング」で検索したところ、ANAVITEに禁止物質が含まれていることやANAVITEを摂取したことによるドーピング違反事例に関する記事は見当たらず、かえって、ANAVITEを摂取しながらドーピング検査を受けてもドーピング違反に問われなかった旨の内容が記載されたブログ記事が存在すること。

④ 申立人がインターネットにより「ANAVITE」や「ANAVITE ドーピング」で検索したところ、ANAVITEに禁止物質が含まれていることやANAVITEを摂取したことによるドーピング違反事例に関する記事は見当たらず、かえって、ANAVITEを摂取しながらドーピング検査を受けてもドーピング違反に問われなかった旨の内容が記載されたブログ記事が存在すること。

(イ)また、証拠(甲32)及び申立人本人尋問によれば、申立人は、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)の残量が少なくなったことから、平成28年8月26日に「1 PROTEIN.COM」のサイトから本件ANAVITEを購入したが、その際にも、上記(ア)①及び④と同様の確認を行っていたことが認められる。

エ 前回競技会におけるドーピング検査の結果

 前記前提事実(第3の6)のとおり、申立人は、本競技会の約6ヶ月前に開催された前回競技会への参加前にも、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)を継続的に摂取していたが、前回競技会時に実施されたドーピング検査においては、本件検出物質その他の禁止物質は検出されなかった。

オ ドーピング・コントロール・フォームによる本件ANAVITEの摂取の申告

 前記前提事実(第3の2(2))のとおり、申立人は、本件検査時に提出したドーピング・コントロール・フォームに、「マルチビタミン、クレアチン、BCAA、グルタミン、ロディオラロゼラ、カフェイン、チロシン及びオルニチン」と記載していたところ(甲26)、申立人は、かかる記載内容のうち、「マルチビタミン」との記載が本件ANAVITEを指しているとして、本件ANAVITEの摂取について申告していた旨主張する。この点、本件ANAVITEの容器の正面のラベルには、「THE ULTIMATE PERFORMANCE MULTI-VITAMIN」と記載され(甲4の1)、さらに、同容器の裏面のラベルには、本件サプリメントの成分として、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、Kが含有されている旨記載されており(甲4の3)、他方で、本件検査の実施前に申立人が摂取していた他の本件サプリメントには、その成分として複数のビタミンを含有している旨ラベルに記載されているものは認められない(甲1から3、甲5から10)。また、被申立人は、上記申立人の主張について争っていない。

 したがって、申立人は、本件検査時に提出したドーピング・コントロール・フォームにおいて、本件ANAVITEを摂取したことを申告していたものと認められる。

カ 「過誤の程度」の評価

(ア)以上の認定事実等に基づき本件における申立人の「過誤の程度」について検討するに、まず、競技者は、JADA規程違反について、過誤の有無にかかわらず責任を負うという、いわゆる「厳格責任」を負っていることから(JADA規程2.1.1項及びその解説)、ビタミンや栄養補補助食品の誤った表記や汚染が原因となって検査結果が陽性になった場合であっても、競技者は自らが摂取する物に関して責任を負うとともに、サプリメントの汚染の可能性に関しては競技者に対して既に注意喚起されていることを理由として、「過誤又は過失がない」とは認められないことがJADA規程上明らかにされている(JADA規程10.4項の解説)。そして、このようなサプリメント摂取に関する競技者への厳格な処置を前提としたJADA規程違反による競技者のリスクを踏まえて、被申立人は、アンチ・ドーピング教育の中で、サプリメントの摂取に関して注意喚起を行っている(乙12)。そうすると、7年にわたる競技生活の中で、少なくとも6回程度はアンチ・ドーピング教育・指導を受け、本件検査の前に計4回のドーピング検査を経験していた申立人としては、サプリメントの摂取については、表示成分の内容如何にかかわらず、結果としてドーピング検査で禁止物質が検出されれば、JADA規程違反として資格停止を伴う厳格な処分が課されることについて、十分認識すべきであり、現に申立人はかかる認識を有していたことが認められる。それにもかかわらず、申立人は、自らの判断で、本競技会参加時には、本件ANAVITEを含む11種類ものサプリメント(別紙3。但し同別紙④-2を除く。)を摂取していたのであるから(申立人本人尋問によれば、申立人は、サプリメントについて、チームメイトと情報交換することはあったものの、自らが摂取するサプリメントの選択については、監督、コーチと相談することはなく、インターネット等で調べて自ら判断していたとのことである。)、申立人に「過誤」が認められることは明らかである。

 そして、本件ANAVITEを含む本件サプリメントを摂取する必要性について、申立人は、他のほとんどの選手がサプリメントを摂取していたことから申立人のみサプリメントを摂取しないという選択は採り得なかった旨供述し、また、国産のサプリメントに比べてビタミンの含有量が多いこと等を理由としてANAVITEを摂取していた旨供述しているが(甲32、申立人本人尋問)、サプリメント摂取によるJADA規程違反の上記リスクを認識しつつ本件ANAVITEを摂取することの具体的な必要性についての申立人の認識については、申立人からは、十分に主張、立証がなされておらず、また、申立人は、安全に摂取できるサプリメントとして、被申立人が設定する基準を満たしていることが公表されている「JADA認定商品」が存在することを認識しながら、同様の成分でより安価に入手できるという理由で「JADA認定商品」ではない本件ANAVITEを自らの判断で購入し、摂取していることから(申立人本人尋問)、認識されるべきであったリスクの程度との関係において、申立人の「過誤の程度」は決して軽視できるものではない。

(イ)もっとも、前記ウの認定事実の通り、申立人は、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)及び本件ANAVITEの摂取にあたり、インターネット検索等による調査を通じてANAVITEの成分に禁止物質が含まれてないこと、ANAVITEの製造会社が、品質等において信頼に足るcGMP認証を受けていること及びANAVITEの使用によるドーピング違反事例が存在しないことを確認し、更に、ANAVITEを使用している申立人の後輩がドーピング違反に問われたことがないことを認識していたことからずれば、申立人として可能な限りの調査等を行って本件ANAVITEに禁止物質が含まれていないとの認識を有するに至ったものといえる。

 更に、申立人は、本競技会の約6ヶ月前に開催された前回競技会への参加前にも、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)を継続的に摂取していたものの、前回競技会時に実施されたドーピング検査においては、本件検出物質その他の禁止物質は検出されなかったことが認められるところ、前記のとおり、サプリメント使用によるJADA規程違反が、表示成分の内容如何にかかわらない厳格責任を原則としていることに鑑みると、競技者にとって、同一のサプリメントを摂取して受けた過去のドーピング検査において禁止物質が検出されなかったという自らの実体験は、製品表示ラベルやインターネットの検索結果その他のいかなる情報よりも、当該サプリメントに禁止物質が含まれていないとの判断をする上で依拠すべき極めて重要な情報といえる。そして、申立人が本件ANAVITEを購入した時期(平成28年8月26日)が前回競技会の開催(平成28年4月16日~17日)の約4ヶ月前と近接しており、その間に禁止表の改定が行われることはなく、また、前記のとおり申立人が行ったインターネット検索等によってもANAVITE(平成27年9月7日購入分)の購入以降にドーピング違反の事例が発生したことは認められなかったのであるから、前回競技会時のドーピング検査で禁止物質が検出されなかったことによって、本件ANAVITEに禁止物質が含まれていないと判断した申立人の事情は、「過誤の程度」の評価において、申立人に有利に判断すべき重大な事由といえる。

(ウ)また、前記オのとおり、申立人は、本件検査時に提出したドーピング・コントロール・フォームにおいて、本件ANAVITEを摂取したことを申告していたことから、かかる点は、「過誤の程度」の評価において、申立人に有利に判断すべき事情となる。

(エ)なお、被申立人は、ANAVITEのメーカーであるガスパリ社が製造するサプリメント「SP250」を摂取した競技者から禁止物質が検出され、申立人が本件ANAVITEを摂取した時期よりも前の平成27年12月8日と平成28年3月16日に、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定によってJADA規程に違反する旨の決定がなされており(乙20、21)、かつ、それぞれの決定が確定した後に、速やかに被申立人のホームページに決定の全文を公開していること、また、「ガスパリ」及び「ドーピング」を検索ワードに入れてgoogle.co.jpで検索を行うと、上記ドーピング違反事例を紹介するブログ記事が複数確認できること(乙22)から、申立人がANAVITEを摂取した平成28年8月~10月の時点において、ガスパリ社製のサプリメントの危険性について容易に確認できた状況にあったところ、申立人は、かかる容易に認識できる情報の確認を怠った旨主張する。

 しかしながら、申立人が受けたアンチ・ドーピングの指導・教育や被申立人が行っているアンチ・ドーピング活動においては、サプリメントを摂取する際には、当該サプリメントメーカーが製造した他のサプリメントから禁止物質が検出された事例の有無を確認すべきとの指導又は注意喚起はなされておらず(乙12、証人尋問、申立人本人尋問)、しかも、上記のとおり、申立人は、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)を継続的に摂取している状態で受けた前回競技会時のドーピング検査において禁止物質が検出されなかった経験を有していたのであるから、摂取しようとするサプリメント自体の調査に加えて、当該サプリメントメーカーが製造した他のサプリメントからも禁止物質が検出された事例がないことまで調査をすべきであったとまではいえない。また、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定によってJADA規程に違反する旨の決定がなされたガスパリ社製の「SP250」のラベルには、“THIS PRODUCT MAY CONTAIN INGREDIENTS BANNED BY CERTAIN ORGANIZATIONS. USE ASSUMES ALL RISKS, LIABILITIES OR CONSEQUENCES REGARDING TESTING.”との警告文が太字で明記され(乙20、21)、ガスパリ社が禁止物質の含有を示し、警告を発しているのに対して、ANAVITEには、同様の表示や警告文は明記されておらず、被申立人が指摘する上記ドーピング違反事例を紹介するブログ記事(「ガスパリ」「ドーピング」の検索ワードでインターネット検索をすると、検索結果として最初に表示される)においても、ANAVITEには「SP250」のラベルに記載されているような警告は記載されていないこと及び当該ブログの筆者自身もANAVITEを使用している旨が記載されていることから(乙22)、仮に申立人が本件ANAVITEの摂取前に被申立人の主張するような調査を行って上記ドーピング違反事例を確認したとしても、本件ANAVITEに禁止物質が含有されていることを疑うことは困難であったといえる。

 したがって、上記被申立人が主張する事情は、「過誤の程度」の評価において、申立人に不利に判断すべき事情とはいえない。

(オ)以上に加え、申立人がアンチ・ドーピング違反となったのは本件が初めてであること及び申立人が主張する、日本アンチ・ドーピング規律パネル決定2015-001事件(甲30。禁止物質(特定物質)を含有していたサプリメントの製品ラベルには競技者の体内から検出された禁止物質の表示がなかったものの、製品ラベルやインターネット検索によって、禁止物質が含まれている可能性を十分に認識できた事情が認められる状況下において、資格停止期間が8ヶ月間とされた事案)で競技者に課された資格停止期間との均衡を考慮すると、同事案で検出された禁止物質が特定物質であるのに対して、本件検出物質が非特定物質であることを考慮しても(なお、申立人は、上記2015-001事件と本件は、サプリメントに意図せず禁止物質又はその原因物質が含有していたという点では共通であることから、検出された禁止物質が特定物質か非特定物質かで違いはない旨主張するが、非特定物資は、特定物質に比べて競技能力を向上させる程度が高い物質であることから、資格停止期間の短縮の程度を判断するうえで考慮すべき事情といえる。)、本件における申立人の資格停止期間は、4ヶ月間が相当といえる。

(5)小括

以上のことから、本件ANAVITEを摂取したことに関して申立人に認められる上記「過誤の程度」に鑑みると、申立人の資格停止期間は、4ヶ月間が相当である。

 

第7 結論

1 原決定に関する判断

 以上述べたことから、本件スポーツ仲裁パネルは、申立人が求める仲裁判断のうち、原決定を全部取り消すとの請求について、主文1及び2のとおり判断する。

2 仲裁費用に関する判断

(1)申立費用

 申立人が求める仲裁判断のうち、仲裁費用に関する請求については、申立人が本件仲裁の申立てに及んだのは、原決定がなされた日本アンチ・ドーピング規律パネルの聴聞手続において、申立人が立証責任を負う、申立人のJADA規程2.1項違反が「意図的ではなかった」旨の立証ができなかったことに起因するのであるから、仲裁費用のうち、申立費用については全額申立人の負担とし、主文3のとおり判断する。

(2)本件サプリメント検査に係る費用

 本件仲裁においては、申立人のJADA規程2.1項違反が「意図的ではなかった」旨を立証するために、SMRTLに対して本件サプリメント検査を依頼し、かかる検査費用(但し、金融機関に対する送金手数料及びSMRTLに本件サプリメントを送付するために要した輸送費は含まない。以下「本件サプリメント検査費用」という。)として、申立人において616,770円を支出している(申立人より審問期日後に提出されたSMRTLからの請求書及び外国関係計算書参照)。かかる費用については、原則として、JADA規程2.1項違反が「意図的ではなかった」こと又は「重大な過誤又は過失がないこと」の立証責任を負う申立人が負担するべき性質であり、また、被申立人は本件サプリメント検査の実施に積極的な協力を行っており、当該費用の支出に関して被申立人に責められるべき点はない。しかしながら、ドーピング紛争に関するスポーツ仲裁規則(以下「ドーピング仲裁規則」という。)38条本文前段は、「証拠調べ、照会及び第35条の規定による検査又は調査に要する費用は、スポーツ仲裁パネルの指示によるものであるときは当事者がそれぞれ等額を負担」するものと定めているところ、かかる規定の趣旨は、事案の解明及び審理の促進のためにスポーツ仲裁パネルが必要と判断して、その指示に基づき行われた証拠調べ等は、当事者双方が等しく利益を享受することから、その費用も当事者双方が等しく負担すべきという点にあるものと考えられる。本件サプリメント検査は、同規定が直接適用される場合ではないものの、本件スポーツ仲裁パネルとしても、本件事案の解明及び審理の促進にあたって有用な手段であると判断したうえで、本件仲裁の進行協議期日において、本件スポーツ仲裁パネルの立ち会いの下、申立人及び被申立人が合意した方法によって行われたものであることから、上記ドーピング仲裁規則38条本文前段の趣旨に準じて、本件サプリメント検査費用のうち、本件検出物質又はその原因物質の含有が認められた本件ANAVITEに関する検査費用相当額である金56,070円(申立人より審問期日後に提出されたSMRTLからの請求書及び外国関係計算書参照)については、被申立人の負担とすることが妥当と考える。

 したがって、ドーピング仲裁規則38条但書及び50条4項に基づき、主文4のとおり判断する。

 

 

以上

2017年8月18日

スポーツ仲裁パネル
仲裁人 水戸 重之
仲裁人 須網 隆夫
仲裁人 千葉 恵介

仲裁地:東京

 

(別紙1)

仲裁手続の経過

1.  2017年1月16日、申立人は、公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(以下「機構」という。)に対し、「仲裁申立書」及び「委任状」を提出し、本件仲裁を申し立てた。

 同日、機構は、ドーピング仲裁規則17条1項に定める確認を行った上、同条項に基づき申立人の仲裁申立てを受理した。
2.  同年1月30日、申立人は、機構に対し、「申立趣意書」を提出した。
 同日、申立人及び被申立人が仲裁人選定期限までに仲裁人を選定しなかったため、機構は、ドーピング仲裁規則25条1項に基づき、須網隆夫に「仲裁人就任のお願い」を送付した。
3.  同月31日、機構は、ドーピング仲裁規則25条1項に基づき、千葉恵介に「仲裁人就任のお願い」を送付した。
 同日、千葉恵介及び須網隆夫は、仲裁人就任を承諾した。
 同日、機構は、千葉仲裁人及び須網仲裁人に対し、「第三仲裁人選定のお願い」を送付した。
4.  同年2月3日、千葉仲裁人及び須網仲裁人は、機構に対し、「第三仲裁人選定通知書」を提出した。
 同日、機構は、「第三仲裁人選定通知書」に基づき、水戸重之を第三仲裁人に選定し、「仲裁人就任のお願い」を送付した。
5.  同月6日、水戸重之は、仲裁人長就任を承諾し、水戸仲裁人を仲裁人長とする、本件スポーツ仲裁パネルが構成された。
 同日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書」を提出した。
 同日、被申立人は、機構に対し、「委任状」、「答弁書」、書証(乙1~12号証)及び「証拠説明書(1)」を提出した。
6.  同月9日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(2)」を提出した。
7.  同月10日、申立人は、機構に対し、「仲裁申立書の補充書面」を提出した。
8.  同月13日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(3)」を提出した。
9.  同月14日、本件スポーツ仲裁パネルは、英文の証拠の扱い等に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(1)」を行った。
10.  同月16日、申立人は、機構に対し、「意見書(1)」を提出した。
11.  同月17日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(4)」を提出した。
 同日、被申立人は、機構に対し、「上申書」を提出した。
12.  同月20日、申立人は、機構に対し、書証(甲1~11号証)及び「証拠説明書(1)」を提出した。
13.  同月21日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(5)」及び「審理に関する上申書(6)」を提出した。
同日、本件スポーツ仲裁パネルは、両当事者に対する釈明事項に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(2)」を行った。
14.  同月23日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面」及び「意見書(2)」を提出した。
15.  同月27日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(7)」を提出した。
 同日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(1)」を提出した。
16.  同年3月1日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人に対する釈明事項に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(3)」を行った。
17.  同月6日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(2)」を提出した。
同日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(2)」、書証(乙13~17号証)及び「証拠説明書(2)」を提出した。
18.  同月7日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(3)」を提出した。
19.  同月8日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人に対する釈明事項に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(4)」を行った。
20.  同月14日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(3)」を提出した。
21.  同月21日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(4)」を提出した。
22.  同月23日、本件スポーツ仲裁パネルは、検査方法に関する進行協議期日の開催、補佐人申請等に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(5)」を行った。
23.  同月29日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(4)」、書証(乙18~19号証)及び「証拠説明書(3)」を提出した。
24.  同月31日、申立人は、機構に対し、「補佐人申請書」を提出した。
同日、被申立人は、機構に対し、「補佐人申請書」を提出した。
25.  同年4月3日、申立人は、機構に対し、「進行協議期日における申立人の主張の概要」を提出した。
 同日、東京において進行協議期日が開催された。本件スポーツ仲裁パネルは、進行協議期日において、申立人と被申立人との間で、申立人が米国のSMRTLに対し、被申立人経由で本件サプリメント検査を依頼し、被申立人がこれに協力すること等の合意が得られたことを確認した。
26.  同月5日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(8)」を提出した。
27.  同月19日、申立人は、機構に対し、被申立人の立会いの下、米国SMRTLに対し、本件サプリメントを送付したことを報告した。
28.  同年5月10日、申立人は、機構に対し、同年4月19日付けで米国SMRTLに対し送付した本件サプリメントが米国の税関手続きを抜けることができず、申立人に返送されてきた旨を報告した。
29.  同月17日、申立人は、機構に対し、本件サプリメントが米国SMRTLに到達したことを報告した。
30.  同年6月5日、申立人は、機構に対し、米国SMRTLより本件サプリメント検査の結果を受領した旨報告した。
31.  同月14日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(5)」及び「申立人主張書面(6)」並びに書証(甲12~26号証)及び「証拠説明書(2)」を提出した。
32.  同月19日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人の主張書面の提出期限に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(6)」を行った。
33.  同月23日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(5)」を提出した。
34.  同月26日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(7)」を提出した。
35.  同月27日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人に対する求釈明の回答期限に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(7)」を行った。
36.  同年7月11日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(6)」を提出した。
37.  同月12日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(8)」を提出した。
38.  同月13日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人に対する求釈明の回答期限に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(8)」を行った。
39.  同月14日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(7)」を提出した。
40.  同月18日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(9)」を提出した。
41.  同月24日、申立人は、機構に対し、「審理に関する上申書(9)」、書証(甲27~29号証)及び「証拠説明書(3)」を提出した。
 同日、本件スポーツ仲裁パネルは、被申立人の主張書面の期限及び証人尋問申請に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(9)」を行った。
42.  同月28日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(10)」及び「尋問申請書」を提出した。
43.  同年8月1日、被申立人は、機構に対し、「被申立人主張書面(8)」、書証(乙20~22号証)及び「証拠説明書(4)」を提出した。
44.  同月2日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(11)」、書証(甲第30号証)及び「証拠説明書(4)」を提出した。
45.  同月3日、申立人は、機構に対し、書証(甲31号証)を提出した。
46.  同月7日、申立人は、機構に対し、書証(甲32号証)及び「証拠説明書(5)」を提出した。
47.  同月8日、本件スポーツ仲裁パネルは、審問期日の開催等に関して、「スポーツ仲裁パネル決定(10)」を行った。
48.  同月9日、申立人は、機構に対し、「補佐人申請書」を提出した。
49.  同月10日、被申立人は、機構に対し、「補佐人申請書」及び「被申立人主張書面(9)」を提出した。
50.  同月14日、申立人は、機構に対し、「申立人主張書面(12)」を提出した。
 同日、被申立人は、機構に対し、書証(乙23号証~32号証)及び「証拠説明書(5)」を提出した。
51.  同月16日、東京において審問期日が開催された。審問期日において、申立人から申請のあった本人尋問及び証人尋問が実施された。
 同日、申立人は、機構に対し、「SMRTLからの請求書」、「外国関係計算書」等を提出した。本件スポーツ仲裁パネルは、当該書証の提出をもって、本件の審理を終結した。
52.  同月17日、被申立人は、機構に対し、「費用負担に関する上申書」を提出した。

以上

 

 

別紙2及び別紙3

別紙2及び別紙3についてはリンク中の別紙2及び別紙3を参照して下さい。

 

 




以上は,仲裁判断の謄本である。

公益財団法人日本スポーツ仲裁機構

代表理事(機構長)山本 和彦

※申立人等、個人の氏名、地域名はアルファベットに置き換え、各当事者の住所については削除してあります。





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